第七回心霊廃墟OFF(福井廃村、廃校) 廃村にまどろむ 第三話

0007 (5)_R
木々の中に埋もれていた道が、突如、切り裂かれたのは数秒前のことだ。
そして、いま目前には、小さな集落が粛然(しゅくぜん)と姿を現している。

外へ出るとひんやりとした空気が頬を撫ぜる。
まわりを見渡すと、小川を挟んで左の岸に家屋が一軒、
道沿いには何軒もの軒先が立ち並んでいた。
言うまでもなくすべて朽ちた廃墟である。
そして、そこには人の姿も声もなく、それどころか気配すらない。
人の為に作られたモノが、人の為に存在していない。

そんなネットの写真で見た非現実的な記憶の中の風景が、
瞬きするたびに、現実の風景と同化してゆく。

少しすると、パトラッシュのエンジンの音が消え、
遠慮がちだった小川のせせらぎと、それに混じり合う霧雨のしんしんという音が耳に残った。

そして、その霧雨だけが、この意志のない空間で、
意志を持ち、かつて家だった物体が土に帰ろうとしてゆく姿を
少しでも隠そうと必死に包み込んでいた。

こんな不条理な違和感たちが、ネロの胸を絞めつけるのである。
今までの旅の中で、この感情の正体をネロは知っていた。

ただ、これを表現のできる言葉は日本語にしか、見つけられないだろう。
おそらく、英語にも中国語にも、バングラディッシュ語にも存在しないと思う。

賢明な読者であれば、すでにわかっているやも知れぬが、書く。


P1030073_R.jpg


「もののあはれ」ここにあり。と。






さて、長い前置きであったが、
ネロのアームストロングキャノンが反応してきたようである。
さあ、そのおもむくままに。

進軍。

blog_import_537a39d206745.jpg


ネロは、三木家という屋号のある廃屋に入った。
廃墟特有のかび臭さが香る。
隊員達がケホケホする中で、
万年鼻炎の為、この毒ガス攻撃にまったく効果がない
ネロは、ほくそ笑んでいるのであった。

内部には多くの生活品が残されていた。食器、衣服、テレビ、ノート…
出て行ったのなら、なぜ持っていかないのだろうと、
素朴な疑問がふとネロの頭をよぎる。
…おそらくであるが、道が狭くて持っていけなかったのではないだろうか。
あんな道をトラックで行くなんて、無謀極まりない。
クロネコヤマトだって1往復目ぐらいでもう、勘弁してくださいと言いかねん。

思考が一応の決着を見たところで、居間に潜入すると、
そこには、日本昔ばなしでしか見たことのない囲炉裏なるものがあった。
火をともすこと無く、いつからこの様なのかと思うと
ネロのアームストロングキャノンがそそり立つのも仕方なかろう。

そして、蔵への進入路を発見する。
その隅っこに、置き去りにされた新品のハイヒールがあった。
そのなんとも素晴らしいセンスは脱帽ものである。
「オレなら町に出れんwww」JC氏の言葉が全てを物語っている。

ああ、もののあはれwwなり。



0007 (6)_R


次にネロがアームストロングキャノンのおもむくまま、潜入したのは寺院である。
そこへ続く道は、苔むしてツルツルであり危険極まりない。
中を覗き込むと、崩壊した御神体、
梁が曲がり今にも落ちようとする屋根と、それを必死に支える襖(ふすま)の姿があった。
そして、崩落した屋根から光が差し込むそれらを照らす様。
それを撮るアーチストの姿。

それも、もののあはれなり。




旧式のミシンが佇む家、小さな公園を巡り、
もののあわれを感じながら最後に廃神社にゆく。

P1030056_R.jpg


小さな神社である。
世界遺産の厳島神社とは比べものにならない。
詣でる人がいない寂しい場所である。

しかし、この静寂と崩壊が調和する、この場所にも神はいた。
むろん、神は神社の中に鎮座していたわけではない。

神とは、きゃいきゃいはしゃぎながら、
パシャリパシャリとカメラを傾けていたUG4メンバーたちである。

あまりに罰当たりな光景に目を覆いたくなるが
生命存在無きところに神は存在しえないではないか。

そう哲学的に、自分を納得させたネロが
写真を撮り始めたのはその数秒後のことである。

もののあわれ、ここに極めり。




関連記事



Sponsored Links


2014-05-26 00:08 : 第7凸レポート(福井の廃村、廃校) : コメント : 0 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

UG4とゆかいな廃墟たち

NERO

Author:NERO
ようこそ
『UG4とゆかいな廃墟たち』へ

このサイトでは
「海外の廃墟」から「身近な廃墟」まで
ご紹介しております。

下記『サイトマップ』に
訪問した廃墟をまとめましたので
ご閲覧の際にはご活用ください。

UG4の世界へようこそ

Sponsored Links

サイトマップ

訪問した廃墟の一覧です

UG4について

UG4について
UG4凸歴
UG4の持ち物

検索フォーム